2011年11月13日日曜日

深津WS、3日目、最終日

3日目、4日目が先週終了しました。どういったワークを行なったかを簡単にご紹介します。
深津さんの演出指導の中の特徴的である、ニュアンス飛ばし、のワークが続きました。また、セリフの中で自分が選んだ言葉なり、大切だと指定された言葉を伏せ字にするワークも継続しました。今回使った戯曲は角ひろみさんの「蛍の光」という作品で、深津さんが演出を実際に行なった作品です。この作品の中でも終盤のシーンを俳優さんには演じてもらっていました。深津さん曰く、最後のシーンから始める事で、俳優のボルテージが上がってくるとの事。一番劇的な、葛藤の多いシーンを最初にやり、その後最初のシーンに戻って行くやり方が非常に興味深かったです。(後から聞いた話では、通常はこういった作りはされないとの事でした。)
参加して頂いた俳優の方は、珍しい指導方針の中で、人間として、そして俳優としての確固たる土台づくりを体験できたように思います。ニュアンス飛ばし、伏せ字、2日目にやった糸、それぞれ精神的にしんどいワークでありながら、しんどいからこそ、効けば長続きするような、秘薬のような演出が実感できた四日間だったのではないでしょうか。

2011年11月6日日曜日

深津WS、2日目

2日目に行なったことを簡単に紹介します。事業担当の伊藤です。
まず最初に、使用しているテキストが、実際の公演時にどういった舞台美術だったのかを、深津さん自ら詳しく説明されました。かなり細かく美術の話をされ、リアルな美術とそうでないものの話や、心象風景の光で作っていく場面の話などが出ました。舞台をどの角度から見るかによっても、舞台の印象が変わるといった話も、鑑賞者として考えればごくごく当たり前の話なのですが、改めてこういったワークの冒頭に聞かされることで、俳優の想像力が高まっていきます。
舞台美術の説明が一段落付いたところで、早速読みに入っていきました。読みをしていく中で、深津さんの言葉が俳優に突き刺さっていきます。そんな印象を持ちました。やはり俳優の方はセリフを読もうとします。しかし、演技のプランの根本は、深津さんの仰る通り、入力作業だと思います。あらゆる情報を、あらゆる状況を入力して、そこから出てくるものを少しずつ積み重ねていく必要性を、参加者の皆さんは少しずつ感じていけたのではないでしょうか。
深津さん自らも仰っていましたが、深津さんの演出には、非常に独特のものがあり、その中の一つが「伏せ字」です。セリフの中で言いたくない言葉を敢えて伏せ字にして、読まないようにします。また、関係性の生き物である人間を強く意識するための「糸」というワークもあります。それ以外にも行なったワークに、「ニュアンス飛ばし」というワークもあります。これらのワークは、俳優が役柄を生きる上で、まず入力作業を大事にして欲しい、という思いで行なわれているものだと思います。
普段の稽古場では感じることが出来ない、深津さん独特の演技指導は、深津さんも仰っていたのですが、気持ち的にある意味しんどい作業であり、即効性の無いものかもしれません。しかし、しんどい作業を行なうからこそ、基軸が出来上がっていき、演技の層が厚くなるのです。最初から嘘をつくことと、本当を作った後に嘘をつくことは全く違います。入力作業を忠実に、丁寧に行なっていくワークは、俳優として必要不可欠な作業であることを改めて思い知りました。3日目のワークは、11月9日です。宿題も幾つか出ましたので、現場に入るのが大変楽しみであります。

2011年11月4日金曜日

深津篤史さんによる、ワークショップオーディション初日

深津さんによるワークショップオーディションが、11月4日から高槻現代劇場で始まりました。今週と来週にわたって、4日間でおこなう講座となります。
このワークショップオーディションは、第一線で活躍する国内外の演出家(劇作家)と演技の研鑽に取り組む俳優達が出会う場を提供使用ということで、京都において2007年の5月から始まりました。以来年1回から2回のペースで松田正隆(マレビトの会)さん、鈴江俊郎(昼ノ月)さん、三浦基(地点)さん等京都を拠点に活動する芸術家を中心に、フランス、韓国など海外からも演出家をお招きし、行なってきました。ワークショップで出会ってその後出演を果たした役者さんも数多くいます。
 今回、高槻市でもこうした場を持てるようになったことで、大阪を拠点に活動する芸術家の方を中心に定期的に開催できればと考えています。今回はその初回ということで、関西を代表する演出家の一人である深津篤史さんをお招きして、ワークショップを開催することにいたしました。
 心配された参加者もなんとか集り、深津さんの「演出」を体験する濃い4日間となりそうです。今日は使用するテキストの本読みに多くの時間が割かれました。次回からはそのテキストを用いてシーンを作ってゆくことになります。いい出会いとともに、演出家にとっても役者にとっても実り多い場所になることを期待しています。