2013年6月30日日曜日

ディディエ・ガラスワークショップ終了

4日間におよぶディディエ・ガラスのワークショップオーディションが終了しました。

非常に集中の高い、創造性豊かな時間となりました。3日目には身体を使ったワークとともに、来年制作する作品の構想について、ディディエさんからお話がありました。次回作が、まさに今回のようなワークショップを繰り返しながらつくられてゆくことや、身体表現を重視した作品になること。ここに音楽家等が加わって共に創作すること、旧約聖書の『バベルの塔』などいくつかのテキスト(物語など)を下敷きにすることなどが話され、作品のイメージを共有しました。

 参加された皆さんは、不慣れなワークに取り組まなければならない場面もあったでしょうが、とても前向きに取り組んで下さり、すばらしい内容になったと思います。
今回のこのご縁が、未来につながることを期待したいと思います。

2013年6月27日木曜日

ディディエ・ガラス氏によるワークショップーディション始まる!

 本日(2013年6月26日)から、ディディエ・ガラス(フランス)による、ワークショップオーディションが、高槻現代劇場(大阪府高槻市)にて始まりました。劇研アクターズラボの趣旨にもあるように、ワークショップオーディションは役者と演出家との出会いの場です。俳優を一方的に選ぶいわゆる「オーディション」と違い、互いの相性を確かめるための場です。今回は来年(2014年)にディディエ・ガラス氏が日本に滞在して制作する作品の俳優選考を兼ねていますが、趣旨は変わりません。
 今回は演出家の要望で、4日間計24時間の時間をかけることになりました。次回作がワークショップを重ねながら、俳優とともに作ってゆくことになるため、その創作方法との相性を確かめるためでもあります。定員を上回る応募を頂き、大変嬉しかったのですが、物理的な制約もあり、約半数に参加者をしぼらせて頂きました。ワークショップであっても、創造性が必要となるため、ある程度の経験と技量が要求されます。作品の傾向から身体表現が重要になるため、動ける(踊れる)ことも重要です。また演出家の要望で、できるだけ若い俳優やダンサーと仕事をしたいということも加味して、選抜させて頂きました。今回受けられなかった皆様は大変残念ですが、また違うタイプの演出家とこうした機会を作りたいと考えていますので、ぜひ再びご応募下さい。
 さて、ワークショップは身体への意識を高めるエクササイズから、身体を使ったり、言葉(自分であみ出したオリジナルの言葉)を使ったエクササイズへと流れ、最後にヨガで身体をケアして一日を締めくくりました。身体で表すこととともに、伝えたり、受け取ったりとコミュニケーションが大事になりますが、参加者からは次々にアイデアが出され、またそれが発展するような創造的で、中身の濃いものとなりました。今日は初日なのでフランス語で行い、日本語通訳がつきましたが、明日は英語で通訳無しで行います。公演に向けての創作ではワークショップを重ねるような稽古になるため、全て通訳を付けるより直接コミュニケーションをとりながら行う方が合理的で、意思疎通もしやすいため、それがどの程度可能かを確認する意味もあります。
 
 残り3日間、作品作りの最初の一歩がどのように進展するか、楽しみです。

 

2013年5月9日木曜日

ディディエ・ガラス(フランス)新作公演に向けて


20106月、京都のアトリエ劇研演劇祭において上演された、フランス人俳優ディディエ・ガラス氏の作品『アルルカン天狗に出会う』は鳴り止まぬ拍手の中で幕を閉じました。約1時間、日本語を話さない彼が、一人芝居で、その多くの台詞を日本語で語り観客を驚かせました。その作品は、東京と静岡(静岡県舞台芸術センター<SPACShizuoka春の芸術祭2010招聘)でも上演され反響を呼びました。
 そして、昨年(2012年)この作品の改訂版を日本国内で上演できないかという相談をフランス側から打診され、私は二つ返事で引き受けました。作品はもとより、俳優(アーティスト)としての彼の態度や、人間性を私はとても尊敬しており、ぜひ一人でも多くの観客に彼を紹介したいと思ったのです。そして、できれば日本各地の役者さん(特に若い役者さん)達に出会っていただき、多くを彼から得て欲しいと思ったのです。
 私たちは彼の新版『アルルカン(再び)天狗に出会う』をもって、横浜、京都、広島、東京、福岡、鳥取とツアーしました。そして、それに合わせてワークショップを実施し、多くの俳優やダンサーと出会う機会を設けました。
 日本では知名度が低く、しかも仮面劇というなじみの薄いパフォーマンスでありながら、彼の作品は各地で好評を得ました。特に、様々な演技テクニックを駆使しつつ、観客と交流しながら芝居を運ぶ彼の作風は、子供からお年寄りまで幅広い層に受け入れられました。
 また彼は、日本の俳優やダンサーと出会ったことで、自ら演出をし日本の役者達と作品を作ることに意欲を持ち始めていました。それを聞いた時、このプロジェクトが広がりを見せていることを実感したのです。そうして、今回の事業が走り出したのです。2013年の6月に再び大阪の高槻でワークショップを行い出演者を決定します。初演は2014年の秋の予定です。ちなみに2014年はアトリエ劇研30周年にもあたり、幅広い層に楽しんで頂ける、国際共同プロジェクトとして、そして国内のいくつかの劇場と手を組んで行うプロジェクトとして、非常に意義深いものになりそうです。

 制作する作品は、子供さんも楽しめるものにしたい。深みがあり、楽しい作品にしたい。そして、できるだけ若手で、才能あふれるアーティストが参加したプロダクションで創作したい。と考えています。

 音楽には京都在住の音楽家、野村誠さんも加わってくれることになりました。
 ワークショップに集って下さる才能が彼と出会って、どのような化学反応が起こるか、とても楽しみです。

ワークショップオーディションの詳細はこちらをご覧下さい。

プロデューサー
杉山準

2012年10月8日月曜日

山崎彬(悪い芝居)によるワークショップオーディション

高槻現代劇場にて、山崎彬さんのワークショップオーディションがおこなわれました。
地元大阪だけでなく、京都や、滋賀からも参加者があり、劇団メンバーも加わったにぎやかなワークショップとなりました。
ワークショップは、自分自身を感じること、自分自身を客観視すること、意識を共演者や舞台空間に開くことなど、山崎さんが俳優に必要と考える、感覚や意識に関する演技エクササイズが盛り込まれた内容となりました。彼が主宰する劇団はメンバーのほとんどが20代という若手劇団ということもあって、参加者も若い方が多かったのですが、そこに混じって年齢が高い方も参加されていて、そういう意味でも意義があったように思います。今日一日だけ、わずか3時間のワークショップでしたが、この出会いがさらに続いてゆくことを願っています。

2011年11月13日日曜日

深津WS、3日目、最終日

3日目、4日目が先週終了しました。どういったワークを行なったかを簡単にご紹介します。
深津さんの演出指導の中の特徴的である、ニュアンス飛ばし、のワークが続きました。また、セリフの中で自分が選んだ言葉なり、大切だと指定された言葉を伏せ字にするワークも継続しました。今回使った戯曲は角ひろみさんの「蛍の光」という作品で、深津さんが演出を実際に行なった作品です。この作品の中でも終盤のシーンを俳優さんには演じてもらっていました。深津さん曰く、最後のシーンから始める事で、俳優のボルテージが上がってくるとの事。一番劇的な、葛藤の多いシーンを最初にやり、その後最初のシーンに戻って行くやり方が非常に興味深かったです。(後から聞いた話では、通常はこういった作りはされないとの事でした。)
参加して頂いた俳優の方は、珍しい指導方針の中で、人間として、そして俳優としての確固たる土台づくりを体験できたように思います。ニュアンス飛ばし、伏せ字、2日目にやった糸、それぞれ精神的にしんどいワークでありながら、しんどいからこそ、効けば長続きするような、秘薬のような演出が実感できた四日間だったのではないでしょうか。

2011年11月6日日曜日

深津WS、2日目

2日目に行なったことを簡単に紹介します。事業担当の伊藤です。
まず最初に、使用しているテキストが、実際の公演時にどういった舞台美術だったのかを、深津さん自ら詳しく説明されました。かなり細かく美術の話をされ、リアルな美術とそうでないものの話や、心象風景の光で作っていく場面の話などが出ました。舞台をどの角度から見るかによっても、舞台の印象が変わるといった話も、鑑賞者として考えればごくごく当たり前の話なのですが、改めてこういったワークの冒頭に聞かされることで、俳優の想像力が高まっていきます。
舞台美術の説明が一段落付いたところで、早速読みに入っていきました。読みをしていく中で、深津さんの言葉が俳優に突き刺さっていきます。そんな印象を持ちました。やはり俳優の方はセリフを読もうとします。しかし、演技のプランの根本は、深津さんの仰る通り、入力作業だと思います。あらゆる情報を、あらゆる状況を入力して、そこから出てくるものを少しずつ積み重ねていく必要性を、参加者の皆さんは少しずつ感じていけたのではないでしょうか。
深津さん自らも仰っていましたが、深津さんの演出には、非常に独特のものがあり、その中の一つが「伏せ字」です。セリフの中で言いたくない言葉を敢えて伏せ字にして、読まないようにします。また、関係性の生き物である人間を強く意識するための「糸」というワークもあります。それ以外にも行なったワークに、「ニュアンス飛ばし」というワークもあります。これらのワークは、俳優が役柄を生きる上で、まず入力作業を大事にして欲しい、という思いで行なわれているものだと思います。
普段の稽古場では感じることが出来ない、深津さん独特の演技指導は、深津さんも仰っていたのですが、気持ち的にある意味しんどい作業であり、即効性の無いものかもしれません。しかし、しんどい作業を行なうからこそ、基軸が出来上がっていき、演技の層が厚くなるのです。最初から嘘をつくことと、本当を作った後に嘘をつくことは全く違います。入力作業を忠実に、丁寧に行なっていくワークは、俳優として必要不可欠な作業であることを改めて思い知りました。3日目のワークは、11月9日です。宿題も幾つか出ましたので、現場に入るのが大変楽しみであります。

2011年11月4日金曜日

深津篤史さんによる、ワークショップオーディション初日

深津さんによるワークショップオーディションが、11月4日から高槻現代劇場で始まりました。今週と来週にわたって、4日間でおこなう講座となります。
このワークショップオーディションは、第一線で活躍する国内外の演出家(劇作家)と演技の研鑽に取り組む俳優達が出会う場を提供使用ということで、京都において2007年の5月から始まりました。以来年1回から2回のペースで松田正隆(マレビトの会)さん、鈴江俊郎(昼ノ月)さん、三浦基(地点)さん等京都を拠点に活動する芸術家を中心に、フランス、韓国など海外からも演出家をお招きし、行なってきました。ワークショップで出会ってその後出演を果たした役者さんも数多くいます。
 今回、高槻市でもこうした場を持てるようになったことで、大阪を拠点に活動する芸術家の方を中心に定期的に開催できればと考えています。今回はその初回ということで、関西を代表する演出家の一人である深津篤史さんをお招きして、ワークショップを開催することにいたしました。
 心配された参加者もなんとか集り、深津さんの「演出」を体験する濃い4日間となりそうです。今日は使用するテキストの本読みに多くの時間が割かれました。次回からはそのテキストを用いてシーンを作ってゆくことになります。いい出会いとともに、演出家にとっても役者にとっても実り多い場所になることを期待しています。